先日、フレンドのSさんとクエストへ行こうと話をしたので、挨拶と共に声をかけてみる。
「先日のクエストを……と思ったのですが大和ゆかれますかね……?」
 今は緊急クエスト「解き放たれし鋼鉄の威信」実施前だ。恐らくこちらに行くのだろうと予想し、その通り返事は緊急クエストへ向かうとの事だった。
「では後程、気力が残っていたらご連絡しても?」
「そういうことでしたら是非に……!」
 そうして、Sさんが緊急クエストへ行っている間、私はコレクトファイルを埋める為に別行動をする事となった。


 Sさんの緊急クエスト待機中、ウィスパーでゆるりと会話しながら道を行く。現在地は「白ノ領域探索」だ。パートナーにはSさんを連れている。
 此処のボスエネミーがコレクトファイルのノルマなので、直行しようとした時だ。目の前には風に舞う黄色い羽根、そしてけたたましい鳥の声が聞こえた。これはもしや、とフィールドをうろうろしてみる。
 そうしてある時、音楽が変わった。
旅は道行け世は壊れ01
(いたああー!)
 ボーナスキーを必死に探してまで会いたかった、エンペ・ラッピーである。
「エンペ・ラッピーさんだああああ」
「可愛すぎて攻撃できない……」
 Sさんもしみじみと言う。急ぎパートナーの作戦を「何もしない」に設定し、周囲にいる黒の民を退けた。
 確かエンペ・ラッピーの攻撃はかなり痛いのだったか、と思い出しながら様子を見ていると、急にエンペ・ラッピーが声を上げて動きを止める。何事かと見ていると、エンペ・ラッピーが転んでごろりと転がってきたではないか。避ける間も無くそれに押し潰されると大ダメージを受けたので、可愛いだけでは済まされないと感じたものだ。
 回復して気を取り直し、エンペ・ラッピーの真骨頂を是非体験しようと注意深く近付いてみる。すると早速エンペ・ラッピーがその腕を伸ばした。
「フレパ(フレンドパートナー)のSさんがぎゅーされたw」
「ぎゃーやったー! 抱きつきが可愛すぎてヤバイ……」
 そんな事を話しつつ、自分も、と再びエンペ・ラッピーへ近付く。やがてエンペ・ラッピーに体をがしりと掴まれた。
旅は道行け世は壊れ02
 巨大生物に掴まれて流石に慌てるのだろうか、掴まれたレツィービートがじたばたともがく。其処にエンペ・ラッピーが頬ずりすると、見る間に体力が回復していった。体力が回復する程なのだ、その羽毛の手触りたるや極上なのだろう。
旅は道行け世は壊れ03
 歌って飛ばす音符にも攻撃判定があり、これも当たるとかなり痛い。癒そうとしているのかそうでないのか、気紛れなラッピーらしいと言うべきか。
旅は道行け世は壊れ04
 そうして最後には倒すしかなくなり、倒れたエンペ・ラッピーを風船で舞い降りた二体のラッピーが引き上げていった。
「さよーならー……」
「あぁ……。しかし、あの回収する空飛ぶラッピーは何者なのだろうか……」
「エンジェ・ラッピーとか……?」
「ある意味お迎え!?」
「いや、もしかして……元々ラッピーの神様かも……!?」
「確かに神がかって可愛いけれども」
 元々神ならば迎えが天使でも取り敢えず物騒さは減るだろうか。
旅は道行け世は壊れ05
 そんな神からのプレゼントなのか、ボスエネミーであるギグル・グンネガムのレア種グンネ・ギンナガムが現れ、「サイキ」ユニットまで寄越してくれた。

旅は道行け世は壊れ06
 さて、緊急クエストが開始して暫く経ったのだが、まだ時間があるようだ。クリア後のレアドロップブーストの恩恵を受けておこうと、ノーマルを受注して一人ひた走る。
旅は道行け世は壊れ07
 一人でクリアすると勝利演出はこうなるのか、などと思いながら無事にクエストを終わらせた。

 Sさんと無事に合流し、相談した結果レベルアップクエスト「境界を貫く双角の凶鳥」へと足を運ぶ。二人だけだが何とかなるだろうか。
 私はクエスト内容をすっかり忘れており、現れる世壊種に段々と手を焼くようになった。特にベーアリブルスの攻撃が避けづらく、何度もパンチを貰ってしまう。何とか退けて先を進み、ディアボイグリシスを倒したところでSさんが声を上げた。
「ビンゴ終わったー!」
「やったー!」
 私は手を付けられていないので知らなかったが、アークスビンゴの条件にディアボイグリシスの打倒があったらしい。あとはクエストを突破するだけだ、と足取り軽く進んだのだが。
 忘れていたのである。アンガ・ファンダージの存在を。

 その時になって慌てたものだ。
 アンガ・ファンダージはこちらが攻撃に使った武器、属性に対して耐性を持つようになる。Sさんはツインダガー、私はカタナを使っていたので、その二つが見事に耐性となってしまった。
 もう回復薬も尽きてきており、Sさんが一度キャンプシップへ戻った程だ。これはどうするかと焦り、ふと思い出す。これを見越していつも持ち歩いているワイヤードランスがあった事を。
 急ぎ武器パレットへセットすると、運がいい事にセットされたフォトンアーツは遠距離から攻撃可能な「カイザーライズ」だった。次に倒れたらキャンプシップへアイテム補充に戻る、と必死に伝え、瀕死の体でカイザーライズを出来るだけ放つ。
 一回は倒れるだろうと思っての行動だったのだが、なんとそれが決まり手となってアンガ・ファンダージが倒れたではないか。
 アイテム欄は綺麗さっぱりゼロが並び、Sさんからアイテムを融通してもらう事となった。
旅は道行け世は壊れ08
 最深部にて、戦う相手はガル・グリフォンだ。

 と、思ったのだが。
旅は道行け世は壊れ09
 Sさんが声を上げる。レア種グリフォン・ゲルスが飛来したのだ。
 攻撃は激しいが、先程の大苦戦と比べれば断然こちらが楽だ。部位破壊もきっちりと完遂し、二人で総攻撃する。
旅は道行け世は壊れ10
 やがて力尽きたグリフォン・ゲルスが水底へと落ちていった。

 這々の体で労い合い、その侭今日は休む事にする。
 今日だけで色々な事が起こったものだ。出来事に揉みくちゃにされてなかなか疲れたものだが、その中に楽しさがあったのも事実である。
 道行けば様々なものが見えてくる。おかしなものも、面白いものも。