緊急クエスト「世界を堕とす輪廻の徒花」及びソロ限定緊急クエスト「輝光を屠る輪廻の徒花」がもうすぐ開始されるというところだったが、この日の私にはとある悩みがあった。
 どうやら左手を痛めてしまったらしく、物を掴んだり握ったりすると腕が痛いのだ。このような状態では「輝光を屠る輪廻の徒花」に挑戦しても無駄であろうし、「世界を堕とす輪廻の徒花」でも操作ミスをしてしまうだろうと、緊急クエストそのものを諦めようとしていた。
 しかしそんな私へ、フレンドのSさんから声がかかる。


「ユクさんユクさん、徒花さんどうされる感じです?」
「ううう……行きたいけれど結果がぼろぼろなのが目に見えていてかなり悩み中です……」
 この会話の事前に、私の体調不良の事は伝えてある。無理はしないほうがいいのかもしれない、という言葉があった。
 しかしSさんが私に声をかけたのは、全く予想していなかった理由からだった。
「いや、自分らソロ先で12人を少人数で行ってみようとか考えてたのですが」
 それに首を傾げるような私の反応へ、Sさんがどうだろうかと続ける。
「……ぼこぼこやられても宜しいのなら!!!w」
 確かに体調不良だが、好奇心のほうが勝ってしまった。

 先に「輝光を屠る輪廻の徒花」へ挑戦するというSさん、同行者のMさんを待つ間、私は少しでも装備を整えようとアイテムラボへ走る。
急く出陣から結末まで01
 「輝光を屠る輪廻の徒花」用にレア度13カタナ「アストラリープ」を強化していたのだが、同レア度カタナ「インヴェイドガラン」より強いとはいえまだ強化途中なのである。つい先程手に入れたなけなしの材料を使い、何とか強化値30まで漕ぎ着けられないだろうか。
 補助アイテムを使い、祈るような気持ちで強化すると。
急く出陣から結末まで02
 何とか強化値30になり、潜在能力もレベル3に到達出来た。
急く出陣から結末まで03
 スキルリング「L/ジャンピングドッジ」も材料をぎりぎりまで使い、強化値6にまで出来た。
急く出陣から結末まで04
 今出来る事を尽くして、二人を待つ。
 程無くして二人と合流して戦い方の相談をしてみると、少人数なのだしとソロ版の動きで了承を貰う事が出来た。

急く出陣から結末まで05
 ソロ版に挑んでいる為すっかり料理「肉野菜炒め」ジャンキーだ、栄養バランスは良さそうだが米が欲しいところ、などのんびりとした会話をしていたが、襲いかかるダークファルス・ダブルに一切の容赦は無い。コアを次々に破壊し、更なる猛攻が加えられる。
 ダークファルス・ダブルも負けじと攻撃を激化させ、最も厄介な攻撃である赤黒いマーダ・トカッタ射出を繰り出し始めた。
 それは二回目の射出だっただろうか。私はジャンピングドッジで跳び上がり、高所からのカザンナデシコを狙ったのだが。
 レツィービートがその時声を発する事が出来たなら、間違い無く短い叫びを上げただろう。
 ジャンピングドッジは確かに発動したのだが、あろう事かダークファルス・ダブルの体に頭をぶつけて落下したのだ。あまりの強打に蹲る事は、マーダ・トカッタ達が許さなかった。
 その後は何とか倒れずにいられたものの、何やら悔しさと恥ずかしさで今度こそ蹲りたい心地だった。

急く出陣から結末まで06
 そうして突入した【深遠なる闇】戦も実にスピーディで、後悔があると言えば一騎討ちで負けた事と、その後放たれる超威力の連撃をカウンター出来なかった事だ。

急く出陣から結末まで07
 やはりまだまだ研究が必要な事を思い知った戦いだが、楽しかった戦いでもあった。
 その後Mさんと「輝光を屠る輪廻の徒花」について少し話す機会があった。防御を捨てれば確かに良いクリアタイムは出るのだが、何処か納得のいかない気持ちがあるという。上手く言葉にする事は出来なかったものの、その気持ちは私にもあった。求めている勝ち方は所謂「ごり押し」ではない、それだけは言える。
 挑戦者は何処までも挑戦者なのだ、そんな事を考えながらこれからの挑戦を誓った。