少し材料が足りない。
 WEB連動イベントの報酬期間に、私はメセタ稼ぎも兼ねて「突破演習:龍祭壇」スーパーハードに赴いた。
 筈だった。


あるかくれんぼの結末01
 突然赤くなる照明、鳴り響く警報、揺れる船内。
 まさか、と思うや否や、キャンプシップは強制転移した。

あるかくれんぼの結末02
 見えたのはダーカーの巣窟。アブダクションだ。
 もう年単位で経験していない上に、今回は初めてのスーパーハードのフィールドである。無事にクリア出来るか酷く不安だが、どうしてもクリアしたい理由があった。

 アブダクションから生還すると、自分のクローンが72時間だけ出現するようになる。
 今まで二回、その出現条件を満たしてクローンを捜索したのだが、どれも空振りに終わっている。
 それから長い時間が経ってやっと巡った三回目のチャンスである、是が非でもクリアしたいところだった。

 ひとまず手探りで進む。侵食戦闘機が度々出現し、制御機構を破壊せよとのエマージェンシートライアルが発生する中での戦いは困難だった。侵食戦闘機からのバルカンやミサイルを避ける為に壁を挟んでの戦いとなり、その場所が決まって狭いのだ。其処にダーカーの大群が押し寄せるが、何とか斬り伏せていく。
 終盤、グワナーダを倒してから何処に行けばいいのか解らなくなりすっかり迷子になってしまったが、暫くしてからグワナーダがいた場所の奥にテレパイプを見付ける事が出来た。この時点で残り時間は四十分を切っており、長い時間フィールドを彷徨っていた事に我ながら愕然とする。

 奥地で待ち受けるのは、ファルス・ヒューナルと自身のクローンだ。じっくり戦っても良かったのだが、今は少しでも捜索時間を確保したい。
あるかくれんぼの結末03
 ダークブラストで一息に打倒し、主に彷徨った事で疲れながらも気分は高揚していた。

 その日、フレンドのSさんと一緒にアドバンスクエストへ向かう事となった。私のクローン出現の事はSさんも知るところだ。
あるかくれんぼの結末04
 レベル上げを兼ねてアドバンスクエスト「特務先遣調査:遺跡」スーパーハードにて走り回るが、クローンの出現は無い。何回か繰り返していると、Sさんが狙いをクローン探しに絞って「特務先遣調査:市街地」ベリーハードはどうだろうと提案してくれた。
 「特務先遣調査:市街地」の全域を走り回り、リスク上昇を避けてボス手前でテレパイプを出して受注し直すという事を繰り返したものの、結局クローンは現れなかった。

 明くる日、一人で「特務先遣調査:市街地」ベリーハードをぐるぐると巡る。
 しかし、やはりクローンは出てこない。
あるかくれんぼの結末05
 代わりに、最早アドバンスクエスト常連のファルス・アンゲルがふんぞり返っているように出現する。
あるかくれんぼの結末06
 レアエネミーでも、探しているのはタガミカヅチではない。
あるかくれんぼの結末07
 その出現のさまが期待させるような【仮面】が二回も出現し、がっかりする羽目になった。
あるかくれんぼの結末08
 疲れ果ててしまい、今回も駄目なのかとマイルームで不貞寝して今日を終えた。

 ラストチャンスに賭けようか。
 時間が出来たので、クローンが消えてしまう寸前にまたクエストへと挑戦する。
 それはエリア1でマップの中間辺りに差しかかった頃だろうか。
 赤い靄が走る。エマージェンシートライアルの予兆だ。最初はダーカー関連のものだと思ったのだが、最後に聞こえる鼓動音が一切聞こえず、代わりに風切り音のような音がした。初めて聞いたこのパターンこそ、クローン出現の予兆である。
 難度はベリーハードである。焦って他の雑魚エネミーに巻き込んで倒してしまうなどという失敗はしたくない。他のエマージェンシートライアルを無視しつつ、注意深く探していると。
あるかくれんぼの結末09
(いたあああーっ!)
 その喜びたるや、何年越しだろうか。
 感動のあまり暫く眺めていて、与えてくるダメージが1であると解るや否や、私はいそいそとカメラ調整をし始めた。
 何枚か撮ってふと、ガードしているところを撮りたいと思い付く。物は試しと、早速ガード姿勢を取ってみたのだが、運悪くその瞬間にクローンが攻撃してしまう。
あるかくれんぼの結末10
(あちゃー……)
 発動してしまった強烈なカウンターの一撃でクローンが倒れてしまい、軽率な思い付きを恨むしかなかった。
 しかし肩を落としてエリア2へと進んだ私の目の前に、赤い靄が現れる。
(まさか)
あるかくれんぼの結末11
 これには土下座でもしたい思いで感謝するしかなかった。
あるかくれんぼの結末12
 とどめはまたもカウンターになったが、きっちりと望みのものは撮れたので大満足である。

 かくれんぼの結末は、隠れている側が自分を見付けた祝いとでも言わんばかりに大サービスするというものだった。
 何とも大きすぎる僥倖に、この先何か不運が起こりはしないだろうかと不安さえあるが、今はただ影のくれた光に感謝をしようではないか。