称号カウンターにて、リストを見ていたある日。私は首を傾げた。
 取ったと思っていた称号が、無いのである。


一瞬は遠い昔01
 その称号とは、「最後の歌を語る者」。エピソード1-10をSランクでクリアすると取得出来るものだ。オムニバスクエストでも同じエピソードを同条件でこなせば取れるものでもある。
 しかし私はオムニバスクエストに一切着手出来ておらず、一から始めるとなればかなりの労力が必要だろう。
 しかも現時点でエピソード1から3、即ちマターボードシステムが終了するまでもう時間が無い。私は急いでプレイエピソードを変更し、クエストへと向かった。

 内容に関して、明言は極力避けるが。
 恐らく、そのクエストに挑戦した頃の私はかなり初期の段階で、相手もまともに見るのは初めてのボスだった。そうして苦戦し、Sランククリアとはならなかったのだろう。
 今はそのボスとのレベル差もかなりのもので、実際に戦ってみると一瞬で決着が付いてしまった程だった。

 このストーリー展開に関しては賛否両論あった。メインストーリーをサブストーリーが食ってしまった形、と表現してもあまり間違ってはいないだろう。しかし全く不必要な物語であったかといえば、決してそうではない。

 戦いはほんの一瞬になってしまったが。その一瞬に遠い昔抱いた思いをもう一度思い出しながら、今はただ、初めてのリクエストへ贈られる歌声を聴いていた。