トリガークエスト「逢魔に誘う幻惑の森」。期間限定で手に入ったクエストトリガーを使う事で挑戦出来る四人用のクエストである。トリガークエストの例に漏れずその難度も高めだ。
 ある日、トリガーを持っていたフレンドのタカシさん(タカシくん)とミルクボンさんから挑戦してみないかとの誘いを受ける。多大にプレッシャーはあったが有り難く参加させてもらい、しかし思うように人数が集まらず三人での挑戦となった。


深きにて掴み取れ01
 クエスト自体、即ちトリガーではないものは以前挑戦した事があるが、殆ど内容を忘れている。掠れたものでもいいから出せ、そんな事を言い聞かせて必死に記憶の扉を叩きつつ出発した。

 厳しいのは確かだが、それ程難というものも無く進んでいく。これは最後にさえ気を付ければ何とかなるだろうか。
 しかしそんな考えは大間違いである事を、道中のある地点が突きつけた。
 トリガークエストでの仕様は解らないが、このクエストは途中で分岐がある。中でもレアルートに当たるとレアエネミーも加わった大乱戦となり、レアアイテムも狙えるが厳しい戦いを余儀なくされる。足を踏み入れたのはまさにそのレアルートだ。其処にはイザネカヅチを始め、耐久自慢のエネミーがわらわらと集まっていた。
 イザネカヅチは背にある弱点を破壊せねばダメージがまるで通らないのだが、破壊しようとするとすかさず他のエネミーが攻撃を仕掛けてくる。その苛烈さに時々誰かが戦闘不能になってしまった。
深きにて掴み取れ02
 体当たりする巨体、爆発する樽。阿鼻叫喚の中、私はというとイザネカヅチに壁際へ追い詰められ、集中砲火を嫌と言う程浴びて倒れ伏してしまう。見ると二人も倒れており、補給も兼ねてキャンプシップへと戻るしかなかった。
 何とか此処を越えなければ。注意深く私達は再度フィールドへと降り立ったのだが、妙に周囲が静かだ。辺りを見回し、そうしてそれを見付けた私達は絶句したのだろう。
「ちかづきたくない」
 巨木のうろの中で、その場全てのエネミーが揉みくちゃになって対決している光景にタカシさんが言葉を零す。遠距離攻撃を仕掛けようにも、少しのダメージで一斉に飛び出されてはまた大いに困ってしまうだろう。
 此処は私の出番だろうと、カタナコンバットを発動させる。無敵時間を利用して大群に飛び込み、あわよくばイザネカヅチの部位破壊を狙いサクラエンドをひたすら連発した。そして巨木のうろから少し出たところでフィニッシュする。その時点でまだまだ残りのエネミーがいたものの、何とかそれを打倒してこの地点を越える事に成功した。

 このクエストには制限時間の他、戦闘不能回数にも制限がある。累計九回戦闘不能になった時点でクエストは失敗扱いとなってしまう。
 あの地獄の地点を越え、最終エリアを残すところで戦闘不能回数に猶予は無かった。最奥に待つのは大量のエネミーとオメガ・ヒューナルであり、特にオメガ・ヒューナルの放つ威力の高い攻撃を受ければ一瞬で倒れてしまうだろう。
 多大なる恐怖に襲われたが、苦労の末に退く事など到底考えられたものではない。そうして決戦を迎えた。

 本来ならばダークブラストで一気呵成に、などと出来るのだが、このトリガークエストではその使用を禁じられている。自分達の腕だけがものを言うのだ。
 やや狭い城内で、とにかくまずは倒れない事を最優先に動く。カタナコンバットとマッシブハンターを交互に使い、致命的な攻撃はしっかりとカウンターを決めて回避しつつ、こちらからの攻撃を叩き込んだ。傷付く事もあったが何とか踏み留まり、確実に回復する。
 やがて雑魚エネミーが打ち止めとなり、残るはオメガ・ヒューナルのみとなる。しかしなかなか倒れてくれず、緊張も最高潮となった時にある音が耳に入った。
 一秒を刻む音。制限時間がもうすぐ切れるというのだ。
 此処まで来て失敗はしたくない、そんな私の願いは何処かに届いたのだろうか。もう時間も秒読みの中、カタナコンバットがリキャスト完了したのだ。すぐさま発動させ、ヒット数を稼ぐ時間も無いのでサクラエンドをがむしゃらに叩き込む。諦めないと言わんばかりに、二人も傷付きながら時間の限り攻撃を叩き込むさまが見えた。
 そうしてふと手応えが無くなる。
深きにて掴み取れ03
 一瞬タイムオーバーと思ったのだが、見えたのはエマージェンシートライアルクリアのテロップ、そして残り時間約12秒という、成功の証だった。

深きにて掴み取れ04
 激戦を勝利を以てあとにする事が出来た。それは決して一人では出来なかった事である。
 各々がその結末に痺れるようなものを覚えたのだろう。静けさが戻った深き森に、ただ剣戟の跡が掴み取ったものを語っていた。