ゲートエリアにて、クラスカウンターにいた頃だろうか。
 突然鳴り響いた音に驚き、頭上を見るとやはりフレンド申請のアイコンが表示されていた。


 申請の差出人をTさんとしよう。
 周囲を見回してもその姿は無い。メニューの「周囲のキャラクター」で名前を見付け、念の為コンタクトを取ってみる事にした。
 何度かウィスパーを送るが返事は無い。送りながら、まだロビーにはいるようなので姿を探してみる。走り回るとショップエリアにて漸く対面出来た。その傍らには一人のアークスが佇んでいる。見ればパーティー加入状態にあり、二人は知人同士なのかとも思ったのだが。
 発言先を周囲に変えて、今一度Tさんへ話しかけてみる。すると傍らにいたアークスから反応があった。聞くに、突然フレンド申請をされたらしく、私と全く同じ状態だという。
 ひとまずパーティーへ招待を受けたので、改めて話を聞いてみる。其処で、先程ウィスパーに返事が無かったのは発言先の切り替えが出来なかった為であると解った。こういった時、パソコンなどでの操作方法が解らないVITAオンリーのプレイヤーは歯痒いものだ。
 発言先切り替えが解ったので会話が可能になり、Tさんの言葉を聞く。何でも、遥か昔にプレイ経験が少しあるだけで、ほぼ初プレイと変わり無い状態らしい。ステルス化していない為に見える装備も初期の頃に世話になった武具である。そしてフレンドがいなかった為、申請を片端から送っていたらしい。
 傍らにいたアークスをRさんとしよう。Rさんから、ふとTさんへ質問があった。その質問に私はRさんの細やかさを感じると同時に、事態があまり良いものではない事を知る。
 Tさんは現在バウンサー、レベルは30。もしかして、それ以上レベルが上がらないのでは、と。

 其処からは早かった。
 Tさんのフレンド申請を受け取って、NPCコフィーの元に案内する。そしてクライアントオーダー「レベル制限解除試練・I」を受けてもらい、指定された各惑星へ素子集めに三人で向かった。
 Rさんと私でエネミーを倒し、Tさんには素子を拾ってもらう。程無くして三種の素子を集め終わり、無事にオーダーを報告する事が出来た。レベル40になればまた「レベル制限解除試練・II」にて素子集めがあるが、それさえ乗り越えればレベル制限には困らないだろう。
 その頃には夜も更けていたので、私は二人に挨拶をしてログアウトした。

 後日、日課のクエストをこなしていた私にTさんからウィスパーが届く。手早くクエストを終わらせてみれば、丁度緊急クエスト「終の艦隊迎撃戦」が始まっていた。
 Tさんはどうやらこれに行こうとして声をかけてくれたらしい。Rさんは残念ながらログインしていないようだ。私は慌ててTさんと合流し、難度ハードへと向かう。
 セクター1、セクター2では疎らだが人がいた。しかしセクター3を受けて、マルチパーティーに私達二人しかいない状態となった。
 A.I.Sヴェガの操縦が一切解らないTさんに対し、相手はネメスアンジュールと大多数の閃機種、戦艦まで存在する。なかなか厳しいが、最低限の操作方法と情報をTさんに伝えて、私は端末にアクセスした。

 何処でフォトンブラスターを使うか考えた結果、一射目はディゾルセイバー・Σの掃討に使う事にした。
 マルチロックミサイルで全体を削り、残りをブレードラッシュで片付ける。一気にヘイトがこちらに向かうので総攻撃されるが、集まってくるのでマルチロックミサイルが非常に有効に当たってくれた。
 戦艦を沈め、ディゾルセイバー・Σの掃討にも成功し、いよいよネメスアンジュールが姿を現した。肩のバリア発生装置を狙うと、意外にもすんなり破壊出来た。この事を伝えておいたTさんも攻撃してくれたのだろう。
 追尾ミサイルの発射がどうも解りづらいので、幾度もそれを致命傷にして撃墜されてしまう。何とも悔しいのだが、手を止める暇は無い。復帰までの間はカメラを動かしてネメスアンジュールを追いかけていた。
 ある時、撃墜覚悟でフォトンブラスターを放つ。やはり攻撃に耐えきれなかったものの、最後まで放てたので有効打にはなっただろう。そして復帰した直後、ネメスアンジュールはもうぼろぼろだったらしい。Tさんに攻撃され、爆発した。
目指すところは輝く01
 クリアが厳しいと思っていただけに、この勝利画面は嬉しいものだ。

 ロビーに戻り、言葉を交わす中でTさんがぽつりと零した。
「つよくなりてー」
 まだ不慣れが見えるTさんのチャットだが、その上でそう零すとなると、私にはとても切実なものに聞こえた。

 Tさんの目指す道はどうなっているのだろうか。
 もしかしたら、険しいかもしれない。もしかしたら、途中で切れているかもしれない。
 幾つもの可能性の中に、私は輝きがある事を願う。そして、その輝きに辿り着く事を。