何もかもが予想通りすぎて驚く程だったのはさておき。
 あるチームメンバーが、迷った末にチームを移籍しました。
 発端となったのは、そのかたが見ていた、とある幻でした。


 幻なので、元々の形は至って普通の無害なものです。
 その幻は、まるで「あくま」でした。
 「あくま」は囁き続け、苛み続け、それに耐えかねてチームを脱出したのです。

 幻は、昔は近くにいたある人物から生まれました。
 幻は、そのかたの見る「形」を次々に「あくま」へと変えました。
 それは私の姿も例外ではなかったと思います。
 「あくま」が何を言っても、「あくま」の言葉にしか聞こえません。

 なので私は「あくま」らしく嘘をつきました。
 嘘をついた相手は、自分自身でした。

 目に映る自分のこの手は、今も「あくま」なのでしょう。
 しかし、「あくま」とは何かを司る存在です。
 物事を貫き通す事も出来ない、「あくま」にもなれないこの手は、一体何が出来るのか。
 ただ、それを考えるのを諦める事だけは、しないでおこうと思います。