全くの二次創作の文章です。苦手なかたは閲覧をお控え下さい。

 現れる思いの形。
 戸惑いながらも、向かうは先へと。


銀朱色した輝きの君表紙



 団欒の時間にそれは起こった。
 いつものように手入れを済ませて置いてあったヴィタエスレインが、突然光り始めたと小さな四人が知らせてきたのだ。慌てて全員で駆け付けると、確かに赤い光を淡く明滅させているヴィタエスレインがあった。
 やがてその光は染み出すように何かを形作る。そうして光が完全に形となって出てきたものは、臙脂色の長い髪をした華奢な人物だった。
 ふわふわと浮いている人物に動揺する中、レツィービートは腕を差し出す。
「ヴィタエスレイン、お前……」
 その言葉に他の全員が驚く中、光る銀朱色の瞳が細められ、手を取った。



 フォトンの具現化現象は、稀ではあるが報告されているようだ。しかしそれはあくまで重要な人物に起こっている例であり、今回の事は考えられなかった事態である。自分達が故郷で身に付けた力が原因なのかもしれないが、正確な事は解らない。
 フォトンは感情によって性質を大きく変えるという。この場合はレツィービートとヴィタエスレイン、双方の思いが作用したと考えるのが妥当なのだろうか。ヴィタエスレインそのものは武器として変わりなく機能しており、力が欠けた訳ではないらしい。



 姿は以前夢で出会ったその侭だった。光で出来ていた銀朱色の翼は、今は展開されておらず影も形も無い。
 取り敢えず落ち着こうと、全員リビングでテーブルを囲む。
「ええと……物は食えるのか? お茶を持ってこようと思うんだが」
 大人しく座っている傍らへそう尋ねたレツィービートにも、若干の動揺が見て取れる。
「わからない、のんでみる」
「そうか……、お前にも解らない事が沢山ありそうだな」
「わたしがわからないのは、わたしについてくらい、だとおもう」
 それを聞いてツィーエが首を傾げる。
「じゃあ、普通の人が何してっかとかは解るんすか?」
「うん。みんなのこと、みてたから」
 つまり、部屋に置いてあった間は暮らし振りを見ていたのだろう。
 レツィービートが茶を淹れる為に席を立ってから、エルダローエが苦笑混じりに呟く。
「見られてたって……なんか恥ずかしくなってきたかも……」
「ごめんなさい……」
「あっ、いや、すんません、見えるもんは仕方ねえっすよね」
 慌ててエルダローエが謝罪したところでレツィービートが戻ってくる。温かい茶を配られたところで、れーすけがテーブルに飛び乗ってホワイトボードを見せた。
『おねえちゃん、おなまえなんていうの?』
「おねえちゃん……、おなまえ……」
 疑問を大いに含んで呟いた事へ、クレイトが尋ねた。
「アークスシップの住民登録をする時に、名前は個体識別として必要になるし、性別も登録しないといけないからな……、両方解らないか?」
「わからない。なまえは、わたしとしてのものが、ない」
「じゃあ性別は登録の時にでも確認してもらおう。それにしても、名前か……」
 言い終えると、全員の目がレツィービートに向けられる。
「……予想はしていたけれど、名付け親って、いつでも緊張するものだな」
 苦笑したその顔は、何処か嬉しそうでもあった。



 続き:「銀朱色した輝きの君 第2話