緊急クエスト「悲劇を願う破滅の虚影」エクストラハード。
 赴いたはいいが、如何せんクエスト受注時間が差し迫っている。その為か人が一向に集まらない。
 現在のマルチパーティーは私を含めてもたった二人だ。今回は無理かと思うも、よく見てみればその一人は場を去っていない。その小さな引っかかりに、私はドリンクを飲み干してテレプールへと飛び込んだ。


 その一人のアークスは、出発前のフィールドに佇んでいた。そして丁寧な挨拶と共に聞こえた提案に私は極度に緊張し、同時に好奇心を大いに擽られる事となる。
 この侭二人で立ち向かおうというのだ。

 始まるダークファルス・ペルソナとの戦いに、私は己の非力を痛感した。
 そのアークス、Kさんはガンナーでのソロ経験があり、それを達成したという。今はアサルトライフルを携えており、確認する暇が無かったがクラスはレンジャーだろう。レンジャーといえばスキル「ウィークバレット」が強力だが、人数が少ない今使っても手練れであるKさんの手数が減るだけだ。
 一方私はまだ対戦経験が少なく、全ての動きを把握していない。ダークファルス・ペルソナの着ける仮面によっては弱点を大きく動かされ、なかなか打撃では攻撃が難しい事も出てくる。
 其処でバレットボウも織り交ぜて攻撃するが、やはりアサルトライフルの攻撃スピードには追い付く事が出来ないらしい。ダークファルス・ペルソナはKさんばかり追い回していた。
 しかしこれは私からすれば好都合でもないだろうか。Kさんを追いかければ自然とダークファルス・ペルソナに辿り着く事が出来、何より万が一の援護もしやすい。カウンターを決めれば、A.R.K.S.支援システムによって回復力が大幅にアップしたハンタースキル「ヒーリングガード」も発動してくれる。そればかりとはいかないが、補助として機能していかなければならないだろう。
 やがてダークファルス・ペルソナが超威力の攻撃を仕掛けてくる。阻止が間に合う筈もなくそれを放たれるのだが、Kさんが回避に失敗したらしく倒れてしまう。ばつが悪そうにフォトンブラスト発動に失敗したとの言葉があり、復活後は仕上げと言わんばかりに攻撃を叩き込んだ。
激闘はほんの偶然01
 そうして崩れ去るその姿に、やりきった感覚は確かにあった。

 聞けばKさんはこういったレイドボスへ、ソロやペアで挑む事も好きなのだという。それに勝手ながら親近感を覚えつつ、フレンド登録まで交わす事が出来た。
 降り立ったのはほんの偶然だったのだが、こうした出会いに繋がってくれた偶然に、私は感謝するしかなかった。